第43回 アトピー性皮膚炎の悪化要因物質「アルテミン」不活薬の開発が待ち遠しい 東北大学の研究で、アトピー性皮膚炎を誘因する原因の一つに、アルテミンというたんぱく質の存在があるとの発表がありました。
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第15回 アレルギーは皮膚から?お肌のバリア機能とアレルギー」でも述べましたが、アレルギー発症の多くは、皮膚から異物が侵入することが原因のようなのですが、今回の発表でも、原因の一つに、ダイオキシンなどの大気中の有害物質の関与が挙げられています。
実験では、ネズミに有毒物質ダイオキシンと結合するタンパク質「AhR」が皮膚の表面で活性化するよう遺伝子操作したマウスを使ったとのこと。(無理やり、アルテミンを増やしたみたいです)
アルテミンとは? 専門的に言えば「ヒトにおいてによってコードされるARTNの 遺伝子」とういことのようです。早い話、遺伝子のなかの一部分で、アルテミンってたんぱく質の情報のある場所のことです。
「遺伝子」とは、DNA(遺伝情報を記録しているところ)上の、タンパク質の作り方を記録している場所のことです。DNA全体の1.5%程度しかありません。
そんな、はっきり言って、誰も気づかないような場所に、アトピー性皮膚炎の誘因があったとは、よく見つけたものだと感心します。
アルテミンが活性化すると、神経組織が発達して、かゆみが生じて、搔きむしることで、症状が悪化するとのこと。アルテミンを中和することで、神経細胞が収まり、かゆみも収まるとのことのようです。
原因がわかったので、その対策ということになるわけですが、薬としては、これから開発とのことですので、現在、アトピー性皮膚炎のお子様は、間に合わないかもしれません。
今できるアトピー性皮膚炎対策 アトピー性皮膚炎の治療と言えば、ステロイド(副腎皮質ホルモン)で、症状を抑える対症療法が、よく用いられているようですが、長く使うと副作用も多いと聞きますし、兎に角、子供がかきむしるので、皮膚のバリア機能が低下して、異物が侵入しやすくなって、さらに症状が悪化するという悪循環が起こります。(※筆者の娘もアトピー性皮膚炎でした)
ということで、やはり、根っこ(原因)を断ち切るのが一番です。(※治療は続けてくださいね)
<すぐできるアトピー性皮膚炎対策> 1.空気のきれいなところに引っ越しする(ダイオキシンなどの有害物質がないところ)(※直ぐには、難しいかもしれませんが・・・)
但し、花粉アレルギーなどを併発しているかたは、山の中に行くと最悪ですので、スギ花粉が飛んでこない南の海のそばとか、良いですね。(余裕のある人しか無理ですが・・・)
2.空気の汚いところ(街中、焼却場、化学工場など)には、行かない。
3.スイミングクラブは辞める(次亜塩素酸ソーダなどの刺激物が多い)
4.皮膚を常に清潔にして、皮膚を保護する無添加のクリームを塗る。
(バリア機能のかわり。界面活性剤入りのクリームは絶対、厳禁。)
お勧めは、米油です。オリーブオイルなどでもいいのですが、生命科学的にみると、有効な成分は、他のどの油よりも、米油の勝ちです(※個人的見解です)
で、なぜ、油かと言いますと、皮膚はほぼ脂質でできているからです。
5.デトックスをする
・肝臓を鍛える ・・・ マリアアザミがお勧めです。
第33回 女子力アップの隠し玉!マリアアザミのリターンエイジング(若返り)効果
・リンパの流れをよくする ・・・ リンパマッサージがお勧めです。
特に、微小循環と呼ばれる体内の循環システムが良くなると、デトックス効果抜群です。
・腸内フローラを鍛える ・・・ 免疫システムの7割はここにあります。
第6回 腸内フローラとは?リターンエイジング(若返り)にも効果あり!
その他、水をたくさん飲む、デトックス効果のある食材を食べるなど、デトックス法はいろいろありますので、自分に合う方法を見つけてください。
「気」のデトックスもお勧めです。大き目の神社やお寺、神聖な山、川など良い気のあるところに行くと、いいですね。東京都内の方は、浜離宮がお勧めです。三百年松のところや、森の中はいいと思います。(アトピー性皮膚炎とは、あまり関係はありませんが・・・)
時間があるかたは、高尾山のどこかも良いらしいです・・・
<皮膚のバリア機能アップ> 1.抗菌タンパク増産 抗菌タンパクとは、その名の通り、細菌やウイルスを防いだり、やっつけたりするタンパク質で、人の免疫機能の一部です。特に皮膚の表面で働くことが多く、皮膚トラブルのいくつかは、抗菌タンパク不足であることが、近年の研究でわかってきました。
通常は、必要に応じて体内で産出されるのですが、自己免疫システムの異常などで、十分な量が供給されないと、外敵から皮膚を守れなくなって、アトピー性皮膚炎やニキビ、肌荒れなどを発症するとのことです。
代表的な抗菌タンパクである【カテリシジン】の場合、アトピー性皮膚炎の人は、健康な人に比べて著しく少なかったとの報告があります。
カテリシジンは、抗菌だけでなく、細胞内で炎症を抑える働きもあるため、不足すると、細菌やウイルスを防げないだけでなく、皮膚のバリア―機能を突破して、侵入してきた敵とも戦えなくなってしまいます。
4週間の間、毎日コーヒー600cc飲むグループとお茶600ccを飲むグループで、抗菌タンパクの増加量を比べてみたところ、血液分析の結果、お茶のグループの方が、コーヒーグループの5倍も増加していたとのこと。また、番茶よりも煎茶、煎茶よりもテアニンが多く含まれる玉露のほうが、抗菌タンパクが増えていたとのことです。(高級なお茶は、健康にも良さそうです(^_^;))
また、抗菌タンパクは、体内での生合成にビタミンDが深く関与していることが知られています。しかも、動物性のビタミンD3が最も効果的とのことです。ビタミンDは日光浴でも増加(体内でビタミンDを生合成)することが知られていますが、日光を浴びていても、動物性のビタミンD3が少ないとビタミンD欠乏症になることから、やはり、食事での摂取が欠かせません。(※ビタミンDには、D2とD3の2種類があります。人への効果に違いがあるとの説とないとの説があります。どう転んでもいいように、両方の対策をしていた方がよさそうです)
お勧めは、鮭、秋刀魚、鯖などの青魚です。ほとんどの場合、切り身一切れで、一日の必要量(2.5μg)を摂取できます。卵、椎茸、しめじにも比較的多く含まれています。ビタミンDは脂溶性なので、油を使った料理にすると効率的に吸収されます。青魚の場合は、元々、脂が多く含まれていますので、焼き魚にするだけでも十分かと思います。
2.善玉菌増強 皮膚には、常在菌がいて、皮膚のバリア―システムの一翼を担っています。ところが、常在菌には、表皮ブドウ球菌(善玉菌)と黄色ブドウ球菌(ちょっと悪玉菌:化膿や食中毒の原因)がいて、常に勢力争い(勢力争いをすることで、ほかの菌が割り込みにくくなるらしい)をしていますが、抗菌タンパクが増えると、善玉の表皮ブドウ球菌が優勢になるとのこと(どうやら、抗菌タンパクは、菌を差別しているらしい・・・)。
常在菌の最大の敵は、合成界面活性剤(石鹸より遥かに強力な洗浄力を持つ)。合成界面活性剤で皮膚を洗うと、常在菌はほぼ壊滅状態になるうえに、餌である皮脂もなくなってしまいます。皮脂も皮膚のバリア―の一つであるため、二重の意味で悪影響があります。(ゴシゴシ擦ると、表皮にある抗菌タンパクも剥げ落ちてしまいます)。
皮膚が元気な人であれば、皮脂が体内から補給されて、やがて常在菌も復活するのですが、肌荒れの方や水仕事の多い方は、なかなか正常に戻りません。そのため、ハンドクリームやフェイスクリームなどを使われる方が多いのですが、この中にも数種類の合成界面活性剤が(水と油を混ぜるための乳化剤して)含まれていることが少なくありません。(要成分確認です)
お勧めは、皮膚の洗浄は、お湯(水)だけで行うことです。お風呂も、お湯に10分浸かるだけで、80%程度の汚れが落ちると言われていますし、タモリさんや福山雅治さんも、実践していますので、一度試してみては如何でしょうか?毎日でなくても、一日おきでも効果はあると思います。(どうしても石鹸を使いたい方は、無添加の純石鹸(石鹸素地)がお勧めです。)
余談ですが、お肌に生息しているのは、常在菌だけではなくて、ニキビダニやトキソプラズマといったダニの仲間も生息していて、過剰な皮脂を食べて掃除してくれているらしいです。
但し、増えすぎると悪さすることもあるとのことですので、常在菌がいなくなるからと言って、洗顔しないのはNGです。何事も、ほどほどが良いようです。
3.皮膚の修復力増強 皮膚の防御システムは、抗菌タンパク、常在菌、皮脂層、角層、表皮など何重にも防御する仕組みになっていて、余程のことがない限りは、正常に作用するのですが、それでも、紫外線や化学物質、花粉などの影響を受けて、皮膚の中までダメージが及ぶことがあります。
そんなときのために、自己修復機能を高めておけば、安心できるというものです。
お勧めは、こちら・・・
1.ハトムギ茶(ヨクイニン:美白、美肌効果)
2.緑茶(テアニンの多い玉露・煎茶がお勧め:抗酸化、抗菌効果)
3.青魚(オメガ3脂肪酸:細胞膜の修理)
4.トマト(リコピン:抗酸化効果)
5.ダークチョコレート(フラボノイド:ポリフェノールの一種)
6.ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜(ケール、カリフラワーも仲間です)
7.大豆製品(納豆、豆腐、豆乳など:タンパク質)
8.ココア(一番のお勧めです。砂糖控えめでね)
(参考:
「第35回 エイジングレスなココアは、寒い季節の女子力アップ!」)
また、皮膚細胞自体が元気に細胞分裂してくれるのが一番ですので、新陳代謝をあげるために必要なエネルギーを増やしてくれるミトコンドリアくんにも気を使ってくださいね♡(詳しくは【
第11回 お肌が若返る?ミトコンドリアの活性化でアンチエイジング?】を参照ください)